南極 一覧

さよなら11倉庫

image昨日から本格的な11倉庫の解体が進んでいる.11倉庫は11次隊が建てたもので,昭和基地の棟の中では,史跡に指定されている旧食堂棟に次いで古い建築物であった.
前にも書いたように,「何か使いたい物があればそこにに行けば見つかる」とまでいわれたよろず倉庫だったが,「建築バブル」が過ぎて残置物資の価値が下落して不良債権化した.老朽化もあって,48次で建てた倉庫に役割を譲って取り壊されることになった.収納物の中には南極観測の歴史を感じさせるものも結構あって,田舎の土蔵にでも入り込んだような気分になったものだが,そういう空間がなくなってしまうのもちょっと寂しい気がする.新しい50年の始まりを象徴するような撤去でもあった.

今夜の夕食は,夏オペの打ち上げと誕生会を兼ねたパーティ.もちろん主役は48次.残留組の我々は隅の方でおとなしく御相伴にあずかる.会場の食堂に張られた横断幕には「壊す楽しみ,作る喜び」と書いてあった.カケヤで思いっきり壁をたたいて破壊する作業は,夏の間の重労働のウサを晴らすかのように楽しかったらしい.残留組も作業を手伝ったものの,一番面白いところはできなくて,出てきた廃材の始末を請け負っていた.

image南極観測50周年を記念して作成された歴代観測隊員の名盤は,結局管理棟の階段ホールに掲示されることになった模様.

パーティを早々に抜け出してVLBIの本観測に突入.大型の低気圧が接近しているようで,帰りのフライトが心配になってきた.


夏オフィス構想

日刊スポーツ同行記者のBlogで知ったのだが,次期観測船の就航で夏期の人員増が見込まれるため,夏期のオフィス環境を整備するための新棟建設案があるそうだ.

たしかに,現在の夏隊のオフィス環境は悪い.夏宿の合宿場みたいなところでゴロゴロとパソコン画面を覗きながら仕事をしている.しらせからの支援乗員とも同居なので,なにかと気を遣うことも多い.観測系の隊員は引継もあるのでそれぞれの部門の観測棟でオフィス仕事ができるけれども,これ以上人員が増えたり,外部の研究者が来たりした場合はかなり手狭になる.夏期のオフィススペースの確保は確かに必要.

しかし,昭和基地に人員が増えると言うことは,それだけの生活インフラへの需要も増えるわけで,造水・電力・廃棄物処理・食料など,オフィススペースにとどまらず全面的な検討が必要になる.特に,環境保全の面でいえば,これ以上昭和基地周辺で人工改変を加えたり廃棄物の排出を増やすのはどうかと思う.

そもそもキャパシティが増えるのは船であって,基地ではない.基地に持ち込むことができる物資量は増えて生活基盤を支える要素は増大するけれども,その分だけ余計に環境にインパクトを与えるということでもある.

むしろ,夏オフィスの機能は新造船にもたせたほうが良いのではないだろうか?どうせ基地でできる観測には限界がある.前にも書いたとおり,大気や電波観測はダメ,自然地理的調査もオングル島じゃたいしたことはできない.結局は,増員分は大陸や沿岸に出かけて調査する分にまわるだろう.それならば,輸送ヘリがあって生活インフラが完結した船を根拠地にしたほうがよっぽどましだ.少なくとも海洋域にいるので,環境への汚染も最低限に抑えることもできる.船と基地との輸送の手間も省ける.インターネットだって,昭和基地を経由した無線LANで可能だ.航空機でS17に来る人員も,最終的には船で受け入れるほうがよい.船の一番の弱点は真水だが,荷油送油とは逆の発想で,オングル島の水を船に送ることができるようなシステムを作ればよい.

毎年のように繰り返される夏期の土木建築工事も,そろそろ収束させてはどうかだろう.そうすれば,設営系の隊員を本来の観測支援に集中的に投入できるわけだし,研究者自身が土木作業をする必要もなくなるし,海上自衛隊乗員の支援もいらなくなる.これを機会に,公共事業的な従来のやり方をやめて,根本的に違う発想で夏オペの運営方法を検討したら良いと思う.

土木作業員に代わってあらたなスタイルの夏オペに必要と思われるのは,ホテルのマネージャーのような運営面をとりまとめる人である.人員の把握と宿泊や移動をマネージする重要性は増大するにちがいないからだ.また,研究・観測基地の意味合いを確保し機能的に運営するには,研究面のマネージメントをしたり,図書・地図・気象データなどの研究資料を整理・提供し,さらに観測の意義を解説をしたりするサイエンスインストラクターのような人も必要だろう.外国人対応には通訳も必要かもしれない.また調理・給仕・清掃に携わる人,野外活動を支援し安全を確保するフィールドのスペシャリスト,国際航空網に対応する航空オペのスペシャリストなども必要だと思われる.このような人たちのオフィススペースなら,昭和基地にあってもよいかもしれない.

単純に増員バブルにのるようなことはしないで,増員の影に環境に与えるインパクトや廃棄物処理など負の面もあることを考えたほうがよいし,観測に本当に必要なもの最善のものがなにか,ということを厳選する姿勢は必要であろうと思う.


IPY layer in Google Earth

今日も一日,VLBI観測準備.

国際極年(IPY)の企画の一つとして,世界に一億人のユーザーがいると言われるGoogle Earthを使って,IPYの活動や成果を配信しようというものがある.雪氷圏研究者のメーリングリストにアラスカ大のM.Nolan博士が投稿した企画提案メールによって知った(http://www.isde5.org/).

http://www.ogleearth.com/polar_network_link.kmz から,Google Earthで読み込むことができるIPYに関するレイヤーファイルの暫定版がダウンロードできる.

実際に試してみたら,シャクルトン卿の航海の軌跡やアムンセンの極点到達旅行,南極氷床の氷厚分布,B-15氷山の動き,オーロラの活動度など,興味深い極域に関する地球・地理データがたくさん登録されていて,Google Earthで表示できた.これがもっと増えたらすばらしい電子地球儀になることは間違いない.

残念ながら,昭和基地の情報はほとんどない.この企画に参加することも前向きに検討したらよいのではないかと思う.


しんがり

すでに日最高気温はマイナスで,風もあって寒い.ダムの湖面も凍結し始めた.

ドーム隊の殿軍がS17から昭和基地に帰還.航空組も昨日のうちにノボに到着しているので,これでドームオペレーションは終了した.しんがりのリーダー原ドクターは,一夏でくつろぎなら,たいした事故もけが人もなかったことに心底ほっとしている,と帰還の感想を述べていた.

昭和帰還組はドーム旅行で出たゴミの始末のため最後まで残留組に加わることになった.オペレーションの最後を廃棄物処理で終えるというのも,近年のJAREらしいやりかた.でも,最初からそう決まっていたわけではなく,あくまで47次の判断でそうなったまでのこと.理想的には,五者連レベルで,人員も日程もオペレーションプランに含めておくべき事項だと思う.

48次越冬でドームから帰還した福井君も,相変わらずの様子で,久しぶりの再会をお互いに喜ぶ.三浦・岩崎両氏はすでにしらせに引き上げているため会うことができず,通算2年半のご無沙汰となってしまうことを残念がっていた.

午後,引継ぎを兼ねたVLBI観測の準備を開始.


夏オペ終盤

image朝一の便で残留組設営隊員が昭和を後にしてしらせへ.48次設営隊員が作業を中断して見送りに集まる.

S17でずっとがんばっていた平沢さんたちが初めて昭和入り.すっかりひげ面になって,最初はだれだか分からなかった.

夏作業もそろそろ終盤.夏宿での給仕,各作業現場での手伝いなど,しらせからの作業支援も今日限り.コンテナ輸送道路の第一期工事は,風発から通称『原人窟』と呼ばれる旧地震計室までの区間の完成をもって区切りをつけたところで開通式が挙行された.

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道路工事には支援としてしらせ乗員が大勢投入されたので,式の準主役となった.まず宮岡隊長らの手によりテープカットがあり,「JAREでは久しぶりに地図に残る仕事です」と隊長が挨拶.引き続いて,バギーによる初走行.みな,大仕事を成し遂げた充実感でいい顔していた.

image私はすでにいなくなっているハズの人間なので,脇で控えめに式典を見守る.48としらせの初走行のずっと後ろを歩きながら,新道路の感触を踏みしめる.地形・地質屋としてまず感じたのは,「こりゃ林道のり面の地質露頭じゃん」ということ.まさか南極で道路脇の露頭を見ることになるとは思わなかった.

夕食は,しらせ支援員といっしょにバーベキュー.もう外でやるには寒い.


新装Cヘリポート

image48次夏オペ大型工事の一つ,Cヘリポート改装工事が終了し,初の離発着が行われた.

この改装は,現在工事中の道路を使ったコンテナ輸送の出発点として,しらせの後継船に搭載される大型輸送ヘリを離発着させることを目指して行われている.環境保全の見地から,アスファルトの使用は認められていないので,細長いアルミ板を組み合わせたものを敷き詰める工法でつくられている.

47-48の両隊長を載せてS17の撤収状況視察と沿岸の海氷偵察を終えたヘリが,そのまま新装Cヘリに進入し,かなり長い時間ホバリングした後に慎重に着陸.みごと成功.ただ,周囲の砂がこなれていないので,ものすごい巻き上げと吹き飛ばしが発生し,砂嵐状態になってしまった.

そして今日もまた一人,このヘリで昭和基地を離れてしらせへ帰還.新装Cヘリポートからの最初の搭乗者という名誉な役回りとなった.

午後,アンテナ島の北端,丁度北の瀬戸に面する海岸にあった小屋の解体・撤収作業.小屋は老朽化が激しく,倒壊や飛散があるとアンテナ設備に被害を及ぼしかねない,というので,ここ数日かけて残留者数人で作業してきたが,今日は床と基礎を取り壊し,廃材を片付けて作業を全て完了した.

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この小屋は,伝聞によれば検潮小屋として使われていたらしい(ちなみに現在の検潮小屋はAヘリポート下の西の浦にある).床を剥がしたら「JARE 1960」という測量基準点が出てきた.福島隊員が亡くなったJARE4のときのものだろうか?


くるくる倉庫

朝から20m/sの強風.午前中のヘリオペは中止.午後,風が止んでヘリオペ再開.残留組帰還第一陣として,気象・気水圏・宙空・電離層が昭和を後にしてしらせへ.

一年前の夏オペで我々が移設したNHK棟は,防災・非常倉庫として使われることになっている.この名前じゃ味気ないので,「くるくる倉庫」と勝手に命名.残留組でその名盤を完成させた.「47倉庫」としなかったのは,移設しただけで最初に建設したわけではないため.

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昭和基地の施設は,建設にかかわった隊次の数で呼ばれることが多い.昭和基地の看板のある広場は,看板の後ろに19次と書いてあるので「19(イチキュー)広場」と呼ばれているし,近々解体予定となっている倉庫は11倉庫である.しかし,これらはあくまで通称で,公式には別の名前で登録されている.でも19広場や11倉庫の正式名称がなんなのか私は知らない.

今回,外国人が多く昭和基地を訪れたが,彼らのために案内図を作成する際に,英語表記をどうするかで結構もめた.本来なら極地研で決めてこちらに知らせてくれるべきものなんだけど,例によって例のごとく何も連絡がない.

これに加えて,日本語と英語の命名方法にはセンスの違いもある.日本人的センスで直訳してしまうととんでもない名前になってしまうこともある.翻訳には英語的発想ができるセンスが必要で,これがなかか難しい.倉庫やガレージなど,機能を指す名前や固有名詞を充当できるものは楽だが,多機能だったりすると結構やっかい.「環境科学棟」は直訳すれば「Environmental Sceince」だが,機能的には[Wet Laboratory」だ.「観測棟」は基地の中では古株の棟で,観測を代表するような名前が付いているけれども,専門化がすすんで他の観測系の棟ができた現在では,言ってみれば全ての観測系の棟が『観測棟』な訳で,オリジナルの「観測棟」は,現在の機能を考慮すると「Atmospheric Science Lab」とでも訳すべきだろう.昭和基地で考えた最初の案で,検潮小屋が「Tide House」になっていたのには笑ってしまった.これにはちゃんと「Tidal Observatory」という用語がある.

昭和基地の変遷や歴史的経緯に疎い一回かぎりの隊員らに任せると,この手の誤訳が満載になるのは当然のこと.これからの国際化・開放にむけて整備すべき事項は山積している.国際査察団も来るかもしれないし,外国語表記の案内図などの整備は急務であろう.ただ,現場での会話に正式名称が使われることはまずない.現場での実用性や意思疎通を重視する意味で「通称」を併記しておくことも必要だろうと思う.

50年もやっていると,しがらみや慣例が増えて,なかなか大変.古株の経験者に頼る現状も限界に来ている.初期の観測隊員が存命中に歴史・経緯を記録としてまとめておく必要もあるだろう.また,隊員の訓練には昭和基地の歴史を講義することも必要になるかもしれない.当初,昭和基地Wikiにそのようなうんちく記録機能を考えていたんだけど,今次ではオペレーション管理に特化してしまったところがある.今後はWikipedia風に使うことも本気で考えたほうがよいかもしれない.

【参考】
JARE45婦長さん作成のこんな用語集もある.


居候

残留組の半分は今夜が昭和基地最後の夜.

結構大勢の残留者がいる理由の一つに,ヘリの運行時間が制限されているという事情がある.しらせを引退ぎりぎりまで使う影響の中でも,搭載ヘリの飛行可能時間の限界が近づいているのが結構大きい.今次でたくさん飛んでしまうと,来次・来々次の飛行時間に制限がでる.それはなんとしても避けたい,というのが48次輸送担当の気持ち.

仕事がなくなった越冬終了隊員は,有終の美を飾ってあとくされなくきっぱりと順次しらせへ引き上げるのが理想.だけれど,帰り便も限られているので,仕方なく(内心では喜んで)残っている隊員も多い.それでも,ただぼんやりと残っているのは48次の夏オペにがんばっている隊員たちにも悪いし,ヘタに手を出すとおせっかいに思われそうだし,そんなことを思いながら,自分自身で納得いくよう働きたいという観測隊員気質で,みんなはなんだかんだと仕事を探してきて忙しくしている.

私のほうも,アンテナの交換作業が結局なくなってしまったし,VLBIまで日もあるので,漠然と残っているよりは,しらせに一旦引き上げて,必要な時に戻ってくるほうがケジメがつくと思ったりしながら一日を過ごしている.

いつまでも残っていたいと思う気持ちと去り際を潔くしたいという気持ちとが,複雑にからみあう残留である.


こんなDVDをつくってほしい

早朝,北大から助教移行審査にパスしたという通知が来た.世知辛い娑婆へ戻るのか...という憂鬱が一気に押し寄せてきた.

冷たい風の吹く一日.朝からL/Sバンド衛星受信アンテナを交換する予定だった.ところが,同型だと思って持ってきた交換品が,昭和のものと微妙に仕様が違うことが判明し,作業は保留.

空いた時間を使って環境科学棟の管理引継ぎを実施.これまで私が管理してきた環境科学棟の次の住人は,先日ドームから戻ってきたばかりの中沢氏.交代前に引き継げず,今日まで延び延びになっていた.これでようやく一安心.中沢隊員も,もう一人の住人の福井隊員も,氷河研究つながりで旧知の仲でもあるので,他人行儀になることもなくすんなり終了できた.お二人とも,これからの越冬一年間しっかりやってください.

夕食は,第一夏宿で支援してくれたしらせ乗員と合同で焼き肉.

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航空機ローパスの
ダイナミックなシーン

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Aヘリから夏宿への道.
まるで炭鉱労働者の家路のよう.
こんな渋い写真が海猿でも使われている
交響曲にのってノスタルジックに流れる.
「くわばら」さんは前の越冬で一緒だった
45次の設営主任.

午後,アンテナ作業の進展待ちをしながら衛星受信棟でデータ整理をしていたら,PCの中に45次の自作DVDの編集データが残されていることを発見.再生してみたら,これがスゴイ出来.

丁度,越冬航空機最後の隊でもあって,ピラタスやセスナからの空撮映像は圧巻.45次と47次は現地での直接的なつながりはない隊だけれど,エンディングなんかは,まるで自分たちのことのように感情移入ができてしまうほど,涙チョチョギレの感動モノ.

こういうDVDをうちの隊でも欲しくなった.だれか作ってくれないかなぁ...と言っていたら,自分で作れ,と言われてしまった.

日没直後にサンピラーが出現.夏と昭和基地との別れを感じつつ,寒さにかじかみながら日の入りを見つめる.
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公共事業基地?

残務処理で衛星受信データをとりまとめて持ち帰り用に梱包.日本から届いたセキュリティソフトのインストールなどを行う.48次には衛星受信担当隊員がいないので,これらの仕事は今後多目的大型アンテナ担当隊員の仕事になる.つまり設営部門に属する隊員の仕事になるわけ.

毛利衛さんは『ロボットにできる定常やモニタリングの観測はもっと自動化をすすめて人員を減らし,その分,本来の研究面に多くの研究者を投入できるようにするべきだ』と提言されているが,人員削減面でもっとも進んでいるのが衛星受信観測であろう.昭和基地から担当の研究者がいなくなり,観測機器をお守りする設営担当だけが残ったことがそれを如実に物語っている.もともと人間の存在をうけつけない宇宙空間での観測ではリモート技術が発達しているので,それに近い分野の衛星受信でまっさきに現場の無人化がすすんでいるのは当然といえば当然とも言える.

今日,アンテナ林で一騒動あった.多くのケーブルが地を這い,観測用の電波も入り乱れているために,立ち入りを制限している区域で,地面を大胆に掘り起こすような土木作業が,観測系隊員のあずかりしらぬところで行われていたのである.

もちろん,土木作業にあたっていた隊員には何の責任もない.全体を見通した作業工程・指示・計画を出せていない統括側に問題があることは明らか.

大気観測に影響がでる焼却炉,基地の電気的雑音を嫌って西オングルに早々に逃げた宙空観測,アース問題を観測部門が個々に解決すべき事項にしてしまう姿勢.新倉庫の建築にあたって,その場所を決めるのに建築・土木で一方的に決めてしまうプロセスなど,観測・研究と設営との乖離はすでにくることろまできてしまっているような気もしないでもない.

昭和基地の生活レベルは格段に向上したし,輸送の面でも,現在工事中の道路の完成によって,飛躍的に効率的になるだろう.でも,これにともなう地形改変によって失われる自然環境も少なくない.私が専門とする地形学的な研究においても,土木工事が進行している地域が充分に調査されているとは限らない.今できることは,どこが人工改変地形なのかをしっかりと見極めておいて,今後調査するようなことがあれば,それを自然物と混同しないように押さえておくことぐらいである.まあ,もう東オングル島にまともな自然地形の存在を期待することはあきらめたほうがよいのかもしれない.

それにしても,大気観測にも電波観測にも向かない,自然地理的調査も限界,野外に出るための充分な準備スペースもない,となれば,なんのための基地なのか,分からなくなってくる.基地拡充,生活環境の向上などの名目で公共事業でもやっているんじゃないかとすら思えてくる.ここは,観測も設営も一体となって南極観測に取り組む美しき共同体の実現の場ではなかったのか?「あなたの作った設備は観測の支障になってるし,役にもたちません」なんて言われたら,がんばっている設営隊員も浮かばれない.

定常・モニタリング観測のロボット化と研究者の短期滞在化をすすめた末に,昭和基地の研究環境を主体的に考えることができる研究者が減ることになれば,この傾向はますます強まってしまうんじゃないかと心配になるこの頃.


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