Takanobu Sawagaki沢柿教伸

Takanobu Sawagaki

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flag.gif エドモントン滞在記
2002.8.16〜8.31
8月16日
(金)

今日も雨で日が差さず寒い.ロッキーの山間部では雪が降ったとか.一日うちの中でウダウダと過ごす.

u19_logo_100x71.gif6/28にも紹介したが,今週末から第1回FIFA U-19女子世界選手権が開催され,日本はエドモントンで一次リーグを戦う.エドモントンで留守番中のShaw教授の長男から“日本ーカナダ戦のチケットをとったので一緒に観戦に行こう”と誘いの電話.さて,どんな戦いになるか,楽しみ.

非常に寒いので,選手のみなさん,なれない気候で故障がなければいいけど.

8月17日
(土)

どうも最近天候が不順.朝方は美しい青空で喜んでいたのに,午後から曇り時々雨.

夏休みの宿題なのか,氷河作用研究グループのホームページにあるQ&A掲示板に何件か質問が来ている.ほんとは,掲示板で質問を見かけたひとで詳しい人がいれば誰に答えてもらってもよいのだが,頻繁にこのページを覗く人はいないようで,私一人で対応しているのが現状.

安直に解答を与えるのは良くないと分かりつつも,日本では超マイナーな“氷河学”の普及のために,とも思って誠意的に答えることにしている.

ただ,回答に対する返事がないのはいただけない.何か教えてもらったら,それなりに謝意や感想,あるいはさらなる質問を返すのが礼儀と言うものだろうに...また,素性を明かせとはいわないが,せめてどんな学校でどんなことを学んでいるかぐらいは教えて欲しいとも思う.

それにしても,北大は最近,ネットを停止する頻度が尋常じゃ無い.しかも丸一日使えないこともたびたび.高速ネットに切り替えている最中であることは分かるが,今やネットは電話以上につながらないと活動に支障をきたす存在になりつつある昨今.商売でやっているISPがこんなだったらとてもやっていけないはず.せめて,ネットの停止時間を数時間におさえることはできないものか.

独法化はある意味では民営化のよさを取り入れることでもあるが,ネットインフラの運営一つとってみてもこのありさまじゃ,道は険しい.

8月18日
(日)

CAN_flag_sm.gif3-2DEN_flag_sm.gifカナダvsデンマーク
NGA_flag_sm.gif1-1JPN_flag_sm.gifナイジェリアvs日本

さわやかな“秋空”.

洗濯と掃除をすませて,夕方,第1回FIFA U-19女子世界選手権を観戦しにCommonwealth Stadiumまででかける.女子の大会ということもあってか,女子中高生がたくさんいた.

P8180012.jpg
第一試合はホスト国のカナダ戦だということもあって,一般席はほぼ満席で,向かい側の指定席は1/3ほどの入り.カナダチームは,外から切り返した球にあわせてゴールにぶち込む,という迫力のある攻撃型.攻めているうちは良いが,守りにやや甘さがあり,そこを突かれて立て続けに2点を失点した.結局は,最後に勝ち越して辛勝.カナダのウィング15番は注目株.

P8180018.jpg
第二試合になると一般席の観客が半減.残ったカナダ人達はナイジェリアをひいきのようで,その中で日本を応援するのはなかなか度胸がいる.それでも結構しっかり声援したつもり.おかげで喉が痛い.日本はきれいな試合運びをする.きれいすぎて意外性がなく,動きが読みやすいのが弱点かな.キックオフ前に,きれいに3-4-3の布陣を整えている様子を見て,カナダ人が感心していた.それから,バックの2番に守備を頼り過ぎているんじゃないかなと思う.そう思いはじめていた矢先に,案の定,彼女がらみで1失点.しかし,小柄なわりには,よくスイーパー役をこなしているものだと感心した.

第一試合のチームは北の国らしく,今日の気温で半袖なのに対し,第二試合のチームは共に暑い国ということで長袖のユニフォームなのが印象的.実は,世界選手権レベルのサッカーの試合を生で観戦するのはこれが初めて.女子でU-19とはいえ,このレベルの試合は観戦しがいがある.

今,結構まともなオーロラが出ているんだけど,選手達は見ているかなあ.

8月19日
(月)

お盆休みも終わったためか,あちこちからメールがたくさん届くようになった.

そろそろエドモントン滞在終盤にむけてバカンス気分から抜け出さなければいけないかな,と思うこの頃.

8月20日
(火)

NGA_flag_sm.gif1-2DEN_flag_sm.gifナイジェリアvsデンマーク
CAN_flag_sm.gif4-0JPN_flag_sm.gifカナダvs日本

朝からなんだか熱っぽい.大学で仕事していても調子が出ない.

夕方,Shaw教授宅までいって,留守番中の長男と夕食.その後一緒に第1回FIFA U-19女子世界選手権を観戦しにCommonwealth Stadiumまででかけて深夜帰宅.

第一試合は最後の数分だけ観戦.やっぱりカナダ人はナイジェリアひいき.

P8200001.jpgP8200003.jpg
いよいよ第二試合.体格がまったく違うのに驚き.まるで小学生と高校生の試合のよう.こりゃいかんな,といやな予感.やっぱりカナダの高さとスピードは桁違いで,すべての局面で競り負け.オフサイドトラップねらいでバックラインをあげる戦法は,かえってゴール前にスペースを作ってしまうので,こういう相手の場合は逆効果だと思う.早いパス回しでつないで押し込むしかないかなあ...

P8210006.jpg劣勢の日本を応援するのに必至で旗を振っていたら,後ろのヤンキーねえちゃんに“見えないじゃんか”と小突かれた.こっちもムキになってつっかかったら,息子が“まあまあ”ととりなしてくれた.

次のデンマーク戦に勝てば,日本は勝ち点4で決勝Tに出られるが,引き分けだと無理.なんとか頑張って欲しい.

今夜もうっすらと放射状のオーロラ.

8月21日
(水)

朝,まだ熱っぽい.寝ていようと思ったけど,どうも腰が落ち着かないので大学へ書類を取りに自転車で往復.ついでに,日本の知り合いからの頼まれ仕事で生物学科に寄る.

生物学科は初めて行ったのだけど,他の棟と違って廊下が狭く,実験設備がごちゃごちゃしていて日本の大学の雰囲気を思い出した.というより,UAの他のところがあまりにもガランとしすぎていて,研究してるなあ,という雰囲気が今一つ感じられないのだ.それが,場所をふんだんに使えるこの大学の特徴でもある.

学内で日本人学生らしき集団を見かけた.体調が悪いと,どうも人恋しくなるのだけど,なかなか声をかけづらい.知らない人たちばかりだし,こんなおじさんじゃかえって向こうが気を使いそうだし,ましてや遊んでくれそうにもないし...ということで,エドモントン滞在中は,ほんのちょっとしか日本人学生との交流はなかったなあ,と思ってみたりする.

久しぶりに暑い一日で,自転車で汗をかいたらちょっと調子が戻った.

8月22日
(木)

DEN_flag_sm.gif1-2JPN_flag_sm.gifデンマークvs日本m1003_kusudama.gif
NGA_flag_sm.gif0-2CAN_flag_sm.gifナイジェリアvsカナダ

banzaifukuw.gifchiacatw.gif勝った!

第1回FIFA U-19女子世界選手権.決勝T進出をかけた一戦.

第一試合,日本は白のユニフォームで登場.私のお気に入りの2番は今日の試合に(イエロー2枚累積のため?)登録なし.前回の負傷は大丈夫かな,と少々気になる.今日の日本は前半いいところなし.MFがまったく機能していない感じ.自陣ゴール前の接触プレー.キーパーチャージかと思ったら,ジャッジは逆でコーナーキック.これで1失点.何度もデンマークに攻め込まれるが,相手のミスに助けられて1失点に押さえる.

ハーフタイムの間に監督からどんな指示があったのか知らないが,後半はMFが生き返った.まるで別のチームのよう.連携プレーで良い展開をみせる.結局,1点ビハインドを引っくり返して逆転勝ち.

エドモントンでの初勝利.みんなほんとにうれしそうだった.カメラを忘れたので,残念ながら写真はなし.

第二試合.既に決勝T進出を決めているカナダはなんだかやる気なしって感じ.ナイジェリアはアフリカのフットワークで,カナダのパワーをしのぐ動きを見せるものの,セットプレーから失点.残念ながら1次落ち.カナダのパワーはさすがだが,ボールさばきはそれほどでもない.ナイジェリアのような動きをみせれば,日本もそれなりに戦えたかもしれない,と思う.

日本は1次リーグをみごと2位で通過して8強入り.次は準々決勝でドイツと対戦.

8月23日
(金)

大学の中にいると涼しいが,帰宅してみて家の中が蒸し風呂みたいになっていたのに驚く.今日の最高気温は32度.ついこの前は10度以下だったのに...内陸性気候とはまさにこのこと.

日本ではもう“Jaguar”が発売になった頃.カナダはまだ23日だけど,ひと足先に“Jaguar”をget.これからインストールしてみるつもり.

明日(日本時間の日曜日)は,全学停電で北大のネットが停止するのでメールも来ないはず.じっくり“Jaguar”を試してみよう.

夜,CBC全国ニュースで“カナダの15番がすごい”と伝えていた.日本チームもちょっと映っていた.

8月24日
(土)

丙午・トシオトコの誕生日.非常に暑い一日.

Jaguar”をインストール.ちょっと速くなったかな,と思う.よく使うソフトで,まだ新OSに対応していないものがいくつかあるので,対応のバージョンアップを待とうと思う.

第1回FIFA U-19女子世界選手権のホームページで過去の記事を読む.スポーツ記事独特の英語の言い回しはなかなか難解.日本vsデンマーク戦の記事はデンマーク寄りの記述で,大番狂わせだったような書き方.まあそうだろうな,と自分でも思う.

Asahi.comで,“高校生年代の地域リーグを発足させる”という記事を読む.これはよい企画だ.Shaw教授のチームも,地域リーグから決勝Tへ進出するというサッカーをやっている.“学校やクラブの枠にとらわれず試合経験を重ねて、日本サッカーの底上げを図る”という狙いはきっと達成されるだろうと思う.できれば,小中学レベルでも実施してもらいたいものだ.

リーグならばゲームが日常的にあって,その中でもまれて成長していくことが期待できる.練習も大事だが,サッカーはやっぱりゲームを楽しむものなのだ.これは,教授のチームを見ていてもよく分かる.それに,子供のチームを育てる大人の楽しみにもなるし,コミュニティの結束も固める効果があるような気がする.学校が週休二日制になったし,サッカーリーグに地域ぐるみで参加することも可能になったはず.

中学の時,クラス委員をしていた私は,体育の先生から“放課後にぶらぶらして不良になりそうな連中をサッカーで鍛えたいので手伝ってくれ”と誘われた.これが私がサッカーをはじめたきっかけとなった.今夏のW杯の熱狂ぶりからすれば,目的もなく街中をぶらついている若者をサッカーに誘うのも一つの手だろうと思う.

ということで,青少年の育成やあらたな地域コミュニティの確立に役立つようなサッカーの可能性に期待したい.

もう一つ注文を付けるとしたら,芝のグラウンドをもっと増やしてほしいということ.ちなみに,エドモントンはカナダのサッカーの中心地と呼ばれるだけあって,芝じゃないグラウンドを見つけるのが難しい.1994年に米国で開催されたW杯の際に,ブラジルがわざわざエドモントンをキャンプ地に選んだ,というほど,環境が整備されている.Shaw教授は“カナダ選抜との親善試合でブラジルの勇姿をみたことが一番の思い出だ”,といってエドモントンのサッカー環境を誇りにしている.日本は狭い国土でたいへんだろうとは思うけど,ゴルフ場や野球場をつぶしてでもサッカー場を増やすべきだと思う(なんて書いたら怒られるかな).

8月25日
(日)

非常に暑い日曜日.

CAN_flag_sm.gif6-2ENG_flag_sm.gifカナダvsイングランド
GER_flag_sm.gif1x-1JPN_flag_sm.gifドイツvs日本

くやしいくやしいくやしい

JPN 1 - 0 GER,90min00secで時計は止まっていたのだ.

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第1回FIFA U-19女子世界選手権.準々決勝エドモントン第一試合,カナダは圧倒的なパワーでイングランドを制圧.すっかり人気者になった選手たちは,試合終了後,観客からサインをねだられていた.

しかし,私的には,陸上選手がサッカーをしているようなカナダのスタイルはあまり好きじゃない.気持ちの中では密かにイングランドを応援していたのであった.

P8250012.jpg

P8250013.jpg第二試合.ドイツと日本はサッカーのスタイルがよく似ていて,まるで紅白戦を見ているかのよう.ほぼ拮抗した試合運びの中,1点を先制して守りきったと思っていた矢先,ロスタイムでドイツに追い付かれて延長戦に突入.ドイツのゴールデンゴールであっけない幕切れ.グランドに伏せったまま動かない選手たち.ほぼ勝利を目前にしての敗退に悔しさがおさまらない.

私の隣で親子が“レッツゴー・ジャーマニー!”と応援していたのが,試合終了直前に“レッツゴー・ドイチェラント!”と叫んだとたんの同点ゴールだった.

90分間際には,日本のエースストライカーの9番が交代.守りに入ったのだろうけど,直感的に,1点差でのこの交代を疑問に思った.追い付かれて延長になった時に得点力に不足が出るからである.というわけで,いやな予感があたったような幕切れだった.

こんなに悔しさがおさまらないのは何年ぶりだろう.もう人生の半分以上前の高3の時,インターハイ地区予選の準決勝でロスタイムにコーナーキックで同点に追い付かれPK負けしたことがあったが,それ以来のことかもしれない.あのときの悔しさを綴った作文があまりにも強烈だったので,国語の先生からクラスのみんなに披露されてしまった,なんてこともあったのを思い出してしまった.U19の彼女たちについ思い入れしてしまうのは,自分のサッカー歴と年代が重なるからかもしれない.

しかし,U19日本代表は予想以上の活躍を見せてくれた.今回の成績は誇りにして良いと思う.オリンピックや女子W杯にむけて,これからの成長が楽しみである.みなさんお疲れさまでした.これからも応援するからね.

準決勝は29日.Brazil vs Canada と USA vs Germany の対戦.本命はなんといっても女子サッカー界の王者“USA”だ.アスリートサッカーのカナダ相手にワザ師ブラジルがどんなサッカーをするのかも楽しみ.それから,3位決定戦になる可能性が高いが,W杯と同じBrazil vs Germanyという対戦も実現すると面白い.

8月26日
(月)

やや暑さがやわらぐ.

そろそろ滞在のまとめにはいる時期.もう使わないもので日本へ送り返せるものは船便で送っちゃおう,と思い,研究資料を整理しはじめる.

なんと言っても郵送料には重さが効いてくる.中でも紙は結構な重さになるので,これらをどう減らすかが勝負.論文などは,日本でも手に入るものやPDFでも読めるものは返送リストから排除.不要物として選り分けた紙の重さを計量したら12kgもあった.これらを全部読んだのか,と言われると怪しい部分もあるが,まあ,だいたいは目を通しているはず.結構読んだものだと,我ながら感心した.

投稿論文の校正原稿をのぞけば,不要物の大半がPDFでも手に入ることが分かって,時代の進歩を感じる.でも,こうして紙の形で手もとにあるという現実を考えると,やぱり読むときは印刷しているんだよね.電子ペーパーみたいなデバイスが開発されないかぎり,“読む”と言う行為においては,紙の有用性はまだまだ残るだろうと思った.

8月27日
(火)

フルァムの稲本がインタートトカップでハットトリックの快挙とか.関連するAsahi.comの記事で,「一流を育てる」という記事を読む.記事によれば,稲本はラテン思考なのだそうだ.

この記事には,“サッカー人気でラテン的思考が広がれば日本も変わるかもしれない”という前東大学長の言葉も紹介されている.また記事の最後には,“今まで日本で主流だった「努力・根性・忍耐」よりも,これからは「陽気・楽観・情熱」をキーワードに伸び伸びスポーツを楽しめる指導法を、より好ましく、より効果的に感じる世代も確実に増えている.”と書かれている.なるほど,と思った.

同じくAsahi.comの科学コラムで,“教育は科学のドラマ性を前面に”という記事を読む.“選別のための勉強、ふるい落とすための試験では、若者は学問にロマンを感じない。未知のことを知るのは本来楽しいはずである。いま必要なのは、ゆとり教育とかで授業時間を減らすことでも、断片的な知識を覚えさせることでもない。学問の発見や、それが社会に与えたインパクトなど科学のドラマ性を前面に出した教育である。” というご意見.これもまた,なるほど,と思う.

上記の二つの記事は“情熱やロマン”ということを重視している点で共通している.閉塞気味の世相だからよけいもてはやされる言葉なのかもしれないが,みずから進んで,苦境に耐えながらも何かを成し遂げるには“情熱”は必要だとつくづく思うし,大学でも,学生の無気力を嘆く前に,自らの研究に対する情熱や科学のドラマ性を全面に出した教育をする努力も必要だと思う.自分の研究分野に関するドラマの一つや二つは語れなければ,本物の研究者ではないのではないか,とすら思う.

かくいう私も,南極にあこがれて北大の扉をたたいた口であり,その情熱は今でも失っていないと思う.研究生活を続けるうちに,学説論争や発見などにまつわるドラマが,南極に限らずいろんなところに存在していることにも気づかされてきた.たまに,研究者仲間にそういう話を口にすると,“なにを浮ついた甘っちょろいことを...”と,批判的に反応されることがたびたびあって,感情的になるのは科学にはそぐわないのかなあ,と思ったりもした.

“学者は観測事実やその解釈を語るべきであって,学者自身が自らの夢や情熱を公然と語ることは忌避すべきこと”という態度をとることは,確かに,一見ストイックな研究者像を思わせてかっこいい.たとえば上野千鶴子さんは“わたしは研究者だから、『考えたことは売りますが、感じたことは売りません』と、みずからを律してきた”という.しかし,やっぱり私は上野さんのようにはなれない.NHKのプロジェクトXや,おもしろ学問人生の大ファンである私は,“情熱・ロマン・夢・ドラマ”というものに非常に弱い人間であり,このことはどうしても変えられそうにないし,そういう自分を変えたいとも思わないからだ.

Shaw教授と研究談義になると,きまって落ちつく先は“Passion”という言葉である.近年,日本の公教育が様々な問題を抱えているのは,教員に“Passion”がないからじゃないか?と教授から指摘されたこともある.Alberta州では,昨冬,教員のストが長く続いたが,Shaw教授によれば,Public Schoolの教員のPassionを維持させるために,住民は非常に気を遣っているのだという.教授は私立学校に子弟を通わせることには否定的だが,日本の公立学校にPassionのある教員やその教員を支えようとする地域の存在がないのなら私立へやることもしかたがないかもしれない,とおっしゃっていた.

ということで,教授のコテージのすぐ隣には,建築士の兄君が自分で建てた別棟が建っている.その名も“Passion Palace”.

8月28日
(水

新学期が近づいたせいか,自宅の周りでは新顔が目につくようになった.

今日からShaw教授が復帰.“Tons of to do !” と,のっけから忙しそう.

オタワのカナダ地調のトムさんから,OTTAWA CITIZENという新聞の切り抜き記事が送られてきた.オタワの工事現場で2万年前の氷底水流チャンネルが見つかったというもの.“このチャンネルの水源はローレンタイド氷床下にあって,現在のオンタリオ湖とほぼ同じ大きさだったと推測されている”と伝えている.“氷底水流の挙動を復元することは,地下水や砂利資源の分布を知る上でも役立つ”と,この研究の実用面を強調していて,新聞報道おきまりの締めくくり.それでもまあ,氷底水流説が前向きに捉えられていてちょっとうれしい.

CBCの全国ニュースで,近年の温暖化とその水資源への影響についてのレポートがあった.今夏のような干ばつがグローバルな温暖化と関係しているとすれば,カナダ南西部の穀農・酪農地帯にとっては深刻な問題なのである.そのレポートの中で湖底堆積物を採取している科学者が取材されていたので誰かと思ったら,11/172/8に登場したAlexだった.彼は,“Stratigraphic Changes associated with the Holocene-Anthropocene boundary: evedence from remote lake ecosystems”というテーマで湖底堆積物を研究しているが,“水資源との関わり”という視点もあったのか,と関心する.

日本からの極秘任務のため,今から徹夜体制で待機.

8月29日
(木)

昨夜は朝方近くまで極秘任務だったため,午前中は非常に眠い.

眠気ざましに外で昼食を,と思ったら,いつもの場所の前に巨大なテントが建てられていて,その中で留学生向けガイダンスをやっていた.私が見たのは,ファッションショー.エドモントンでの生活に想定される服装を紹介する企画.真冬の完全武装をしたボランティアの学生が,残暑の中,テントの脇で出番を待っていた.ごくろうさま.

USA_flag_sm.gif4-1GER_flag_sm.gifUSAvsドイツ
CAN_flag_sm.gif1-1BRA_flag_sm.gifカナダvsブラジル
PK 4-3

仕事の後,Shaw教授と一緒に第1回FIFA U-19女子世界選手権の準決勝を観戦にいく.

P8290002.jpg

第一試合,USAはエドモントンで初めての試合.カナダ人はアメリカが嫌いなのか,ドイツへの声援がめだつ.一方のUSAは,応援団が一丸となって負けじと声援.USAチームは特にこれといった特徴はないが,全体的にまとまっていて体力もあり,いつのまにかチャンスを作って得点して快勝.

P8290017.jpg

第二試合.事実上の決勝戦といわれる対戦.スタジアムはこれまでで最高の観客の入りで,ブラジルを応援する黄色い集団が奏でるドラムのリズムも加わって,大いに盛り上がる.

P8290022.jpg王国ブラジルの個人技に翻弄されて,カナダのアスリートサッカーがなかなか成立しない.ラテンサッカー特有のちょっとしたズルもあって,まじめなカナダはそれで精神的にも攪乱される.結局1-1のまま90分を終え,30分の延長戦でも決着せず,今大会初のPKとなる.なんとかふんばってカナダが辛勝.文字通りの“死闘”で大満足.

決勝戦は予想通り,北米対決となった.三位決定戦はW杯2002の決勝と同じ組み合わせ.1次リーグで一度対戦しており,そのときはブラジルが勝っている.


試合時間がのびたため,大学にもどったら0時近くになっていた.自転車を盗まれた.鍵を切断されていた.これで2度目.夜遅くなったのがいけないのかもしれない.ま,冬が一足先にやってきたと思えばいいっか.

教授の家のガレージに眠っている自転車が修理すれば使えるだろう,ということで,帰国までの間それを借りる約束をとりつけて,今夜は家まで車で送ってもらう.

8月30日
(金)

肌寒い一日.自転車がないのでバスで登校.

朝一で,大学のセキュリティに盗難届を出す.“切られたね”,とガードマンがにこっと笑う.よくあることのようだ.

お茶の時間に,Shaw教授が留守中に仕入れた文献情報などを交換し議論.

夕方,教授から借りることになった自転車を受け取りに教授宅まで.そこで地元の新聞を読ませてもらう.昨夜の試合が一面トップ.エドモントンで開催されたサッカーの試合で,例の,1994年にブラジルナショナルチームが来た時に次ぐ二番目の観客動員記録だったとか.その数3万7千人.札幌ドームが満席で5万人だから,相当な数だ.

FIFAの国際選手権といはいえ,U19でしかも女子のサッカーでこれだけの人が観戦するのは誰も予想しなかった記録的なことだ,と伝えていた.私は,試合内容も,この記録的な観客動員数に恥じない立派なものであると思う.

8月31日
(土)

すがすがしい秋晴れ.いよいよ新学期も近づき,私がいる家族向けの学生居住区では,車で家財道具を運ぶ新住人の姿をあちこちで見かける.洗濯と掃除をすませて,Shaw教授から借りてきた自転車の修理部品を調達しに徒歩で買い物にでかける.

ランドリーで,投入したコインを2枚も機械に食われた.これはいつものことななので,機械選びには慎重になっていたのだが,配水管が漏れているのか,床が水浸しで,つい入り口に近い洗濯機を選んだのが敗因.

アメリカでは,大学の洗濯機がWebに対応し,IDカードや携帯電話で料金を支払えるようになるのだとか.そこまでしなくてもいいから,配管やコインのところぐらいはしっかりメンテして欲しいものだ.

こちらでは,自販機など,コインを入れて支払いをする機会がほとんどなく,たまにそういうのがあっても,コインや紙幣を投入する機構の性能が著しく悪い.日本の自販機の性能の良さをあらためて実感させられる.

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