Takanobu Sawagaki沢柿教伸

Takanobu Sawagaki

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flag.gif エドモントン滞在記
2002.5.16〜5.31
5月16日(木)

今日は“Star Wars Episode II”の公開日.朝の目覚ましラジオは例のテーマ曲ではじまった.

飛行機雲と気象の意外な関係”という面白い記事を発見.今や空から飛行機を消すことは不可能に近い時代である.航空機が飛んでいるときと飛んでいないときのデータを取ることなどできないため,飛行機雲と気象の関係を調べるのは至難の業だった.それが9月11日の事件をきっかけにまたとないチャンスが訪れた,というもの.

記事の最後にある「これは飛行機雲の影響を調べる一生に一度のチャンスだった。まあ少なくとも、一生に一度であることを願うしかない」というトラビス博士の言葉はなかなか.

夕方,Shaw教授率いるサッカーチームの試合観戦に誘われる.「今夜どう?」と言うのでてっきりナイターかと思っていたが,よく考えてみれば,ここは9時を過ぎてもまだ十分に明るいのだ.試合は6-0の圧勝.いつでも気軽に芝の上でプレーできる環境がうらやましい.

Shaw教授が主審をやるというので,そのウォーミングアップをかねてキャッチボール(?サッカーでもこういうのかなあ)につきあう.「うまいねえ」と教授から誉められた.そりゃそうだよ.私は中高とサッカーをやってたんだから.

5月17日(金)

Scablandの記事を大幅に書き直す.いろいろ調べていると,間違った理解や知らなかったことがたくさん出てきて,科学的に正確さを維持しようと思うとなかなか大変な仕事であることに気づく.こりゃ大変なことを始めたものだと,ちょっと後悔.でもまあ,勉強になるし,よい機会だから最終的には投稿できるレベルまで持っていこうと思う.

5月18日(土)









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朝一番でたまった洗濯物をかたづけようと思ったら,ランドリーにある全ての洗濯機を使って大量に洗い物をしている夫婦がいた.銀行でくれるコインをまとめた束で25セントを大量に持ってきているほどの用意周到ぶり.順番待ちの住人たちからヒンシュクをかっていたのは言うまでもない.あの大量の洗濯物はいったいなんだったのだろうか?

午前中の洗濯をあきらめて引き返えそうとしたら,居住区の世話グループの女性に呼び止められた.なんだ?と思ったら“お昼にアイスクリーム大会を開くからお子さんをつれてきてね〜”ということ.あいにく妻子は一時帰国中.野郎一人でアイスクリームをもらいに行くわけにもいかず,おとなしく部屋で過ごす.

AF-1.jpg先日の調査旅行の折り“とある場所”で“Air Force One”を見た.さすがに主は拝めなかったが,その日の朝のニュースで大統領が来ると言っていたので,ジョージが乗っていたことは確か.

今夜,テレビでハリソンフォード主演の同名の映画をやっていたので,気になってちょっと調べてみた.現在大統領専用機として使われているのは“Boeing VC-25A(テールナンバー82-8000)”という機体ということで,私が見たのもそれ.実は,大統領が乗っている空軍機であればどれでも“Air Force One”というコールサインを使うそうだ.だからID4で宇宙人と戦うために大統領が操縦していた戦闘機も“Air Force One”になる(ハズ).逆に,82-8000も,主が乗っていない回送状態のときは“SAM26000”というコールサインになる.

映画のほうはラストで,ハリソン扮する大統領が輸送機のC-130に救出されることになるが,そのC-130は救出の瞬間“我が機は只今,コールサインAir Force Oneとなった”と報告していた.よくできている.

5月19日(日)



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どんよりと曇って湿度も高い.

先週は,調査の記憶が薄れぬうちに,と記録の整理に精を出しすぎ,旅の疲れも引きずって過労気味.お腹の調子も良くないので,今日一日のんびりすることにする.でも,気になることが次々頭に浮かんで,結局午後は資料や調査記録と格闘するハメになった.

KSPSで,19世紀末から20世紀始めにかけて,Montanaに大量に移住した中国・日本人の記録番組を観る.Scablandの上流地域にこのような東洋人の移住の歴史があったことを知ることができて興味深かった.

Ground Zero -$20 BILL 9/11 ANOMALY -”というサイトを発見.丁度米ドルを持っていたので自分でも試してみた.でもあまり気持ちの良いものではない.

5月20日(月)

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今日は“Victoria Day(ビクトリア女王誕生祭)”という祝日.ビクトリア女王(1819〜1901)は,英国の最も輝かしき時代を統治した人で,1837年即位以来英国最長の治世64年を誇る.人気も高く,彼女の名に由来する地名は大英帝国連邦諸国の各地に存在する.ちなみにAlbertaという州名は,彼女の娘の名にちなんでいるとか.

この週末で一気にタンポポが咲いて木が芽吹いた.朝と夕方でも違いがわかるほど,ものすごい早さで葉が成長している.一方,オハイオのエリー湖近くの街では雪が降ったとか.

ようやくScablandのログをひととおり仕上げる.細かな手直しはこれから.

anAtlas”という便利なソフトを発見.地図関連のWebサイトと連携して,欲しい地域の情報にすばやくアクセスできるようにするもの.Scablandのログもこれを使って地図や空中写真の情報とリンクさせることに成功.なんだか,映画“Enemy of The State (邦題エネミーオブアメリカ)”に出てくるNSAの追跡官を自前でやっているような気になってきた.

5月21日(火)

昨夜から風が強い.午後からは雨.気温も下がってきて,今夜は雪になるという予報,久しぶりに暖房をつける.

野焼きの匂いがするので,そのことをShaw教授にたずねたら,Edmontonの北200kmほどの所で森林火災が起きていているということ.春先によくあることだという.いうそういえば,遠くの空もかすんでいるような気がする.

5月22日(水)

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お茶の時間にShaw教授が複雑な表情をしているので,どうしたのかと思ったら,小さい頃から親しくしていた息子の友人が亡くなったという.それも別々に2人も.午後双方の葬式に行くといっていた.逆に,昨日,職員と院生のサッカーの試合で20年ぶりにゴールを決めたといって喜んでいた.

私のほうも,同室クリスから札幌の地質学教室のW教授の訃報を聞く.地質関係の国際MLで知ったとか.合掌.

5月23日(木)

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うちの裏には小さな庭がある.朝は芝生の緑なのだが,帰宅する頃には黄色に染まっている.タンポポの花が開くのだ.夜にはまたしぼんで緑に戻る.

色の変化が見ていて楽しい.

...ホントは芝の手入れをしなきゃいけないんだけど...タンポポがかわいらしくて刈らずに放ってある.

5月24日(金)

このところ,Scablandの記事の執筆にのめり込んでいる.当初は大変なことを始めてしまったと後悔したが,調べれば調べるほどいろんな事が分かってきて,今では楽しくなってきた.分からないことがあればすぐに相談できるShaw教授がそばにいることも結構助かっている.

現在追究しているのは,一般的に受け入れられている説の実態とは何か,という視点からScablandの研究史をレビューすること.合衆国は科学の成果を一般に還元することに非常に積極的だが,地質学という実用とは程遠い分野でも,いろんな広報活動が行われている.そんな中で,巷に流布しているいわゆる“通説”とよばれるもののありようをつぶさにみていくとこや,学会レベルではどのように議論されているか,あるいは一般世間にどのように伝えられているかなどを見ていくことは,新鮮な体験だ.また,それらを批判的に捕らえながら作業を進めていくことは,なかなか良い勉強になる.

これも,在外派遣で十分に時間をかけられるおかげであろうと思う.他にやらなきゃならない投稿論文の改訂の仕事などもあるのだが,なかなかそちらに時間をさく気になれないのは,日本から離れている弊害かもしれず,困ったことだとも思う.日本で世話をかけている皆さんすみません.

午後,前から予定していた日本舞踊のコンサートにShaw教授夫妻を招待する.息子のほうは“No thank you”ということで今回はパス.お二人とも観劇に関しては目が肥えているので,はじめはどうなることかと心配していたが,日本舞踊を見るのは初めてとのことで,思いの外喜んでもらえた.それでもやっぱり,家元と弟子の力量の違いをしっかり見分けていた鑑賞力はさすがである.喜んでくれた反応もお世辞のうちなのかもしれないけれど,まずは恩返しの一つでもできたかと思い,一安心.

5月25日(土)

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Shaw教授から“サッカーチームの子供たちがStar Warsを見に行くと言っているから一緒に行くか?”と電話.もちろん二つ返事で連れていってもらうことに.カナダの新進気鋭の俳優Hayden Christensenが主役を務めるだけに,エドモントンも込むかな,と思っていたが,意外に劇場はすいていた.これも田舎都市のおかげかも.週末の夜は平日よりも高い時間帯なのだが,それでもC$10.こちらの映画はホントに安い!

star-ani.gifJediの衣装は絶対に肩衣・袴姿の武士を意識しているに違いない.ヒロインの名前も阿弥陀様だし...昨日の日本舞踊のコンサート以来,キモノに興味を持ち始めていた教授も,Star Warsの各所に隠されたオリエンタルな要素にようやく気づいた様子.私は,Anakinが着ているレザー仕立ての肩衣が欲しくなった...ルーカスの黒沢好きは有名だが,Episode IIのJedi総出のチャンバラとなればこれだよねはやっぱりカッコイイのだ.

こちらに来たてのころに“Load of the Rings”に連れていってもらって以来の映画であったが,その時に比べて格段に良く英語を聞き取れるようになっていたのには驚き.字幕を追う必要がなく内容に集中できるためか,ワイド画面のすみずみまで目が行き届いて,非常に楽しめた気がする.

依田さんならぬYodaの太刀まわりは本篇の一番の見どころ...会場では笑い声があがっていたけど...

5月26日(日)

天気が良いので,洗濯をすませてから自転車で遠出する.ピチッとしたパンツにTシャツで格好良くサイクリングしている人が目立つ.週末を利用して,あちこちでガレージセールをやっている.欲しいなあ,と思う家具や写真集などもあったが,短期滞在の身では荷物になるだけだし,そもそも自宅まで運ぶのも大変なので眺めただけ.距離はそうでもなかったが,初夏の陽気の中,ガレージセールめぐりで住宅街の路地をいろいろ回ったので汗びっしょり.

帰路にショッピングセンターで買い物を済ませ,さあ帰ろうと自転車置き場に行ったら,なんと愛車がなくなっていた.盗まれたか!鍵はちゃんとかけていたのに...これまでたいした災難にも会わずににきて,この街の安全さを実感していたところだったので,被害額よりも精神的なショックが大きい.

しかたがないので,ショッピングセンターに戻って,新しい自転車を購入.どうせ大学と家の間を行き来するだけだし,また盗まれるようなことがあってもショックのないように,そこで二番目に安いものを選ぶ(一番安いのは子供用).新車も当然MTBだが,なんと,前のよりずっと乗りやすい.体に合うせいかなあ.でも,細かい所をいろいろ比べてみると,盗まれたほうはプロ仕様の結構いい部品を使っていたものだったことを再認識する.そういえば,中古にしては新車なみの値段だったものなあ...ドロボウもそこに目をつけたのかもしれない.

私にとっては,良い部品よりも乗りやすさのほうが優先事項なので,実は新しいほうを気に入ってしまった.ということで,正直なところ盗まれたほうにあまり未練はない.札幌でも何度か自転車を盗まれたことがあるが,発見回収率は結構高かった.この街も広いようで狭いことがだんだん分かってきたので,分解されていなければ,そのうちどこかで盗難車を見かける機会もあるだろう.

5月27日(月)

新車は,タイヤの空気が少ないのかちょっと重い気がするほかはすこぶる調子が良い.

朝から日差しが強く夏を感じる.Shaw教授は,先週までの肌寒さからの変貌ぶりを,“昨日の一日が短い春で,いよいよ今日から夏だ”と評していた.

5月28日(火)

今日も暑い一日.芝生の上でお昼をとろうと思って外に出たら,木陰でサンドイッチをかじっているShaw教授を発見.一緒に食べることに.半袖に短パン姿で,なんとも気持ちよさそうだった.

帰り道,桜に似た木を一本見つけた.まだ幼木だが花は立派に満開.おもわず立ち止まってしばしの花見.エドモントンの春は花らしい花がなく寂しく思っていたが,これでちょっと満足.だれが植えたんだろう?

夕食は冷奴とそうめん.もう思いっきり夏.

5月29日(水)

Scablandの記事,せっかくだからShaw教授にも読んでもらいたいと思い,Web翻訳サイトを物色する.

babelfish.altavista.comは英語のページなので欧米人には使いやすいが,私のページを試してみた限りでは,www.excite.co.jpのほうが科学英語にはしっくりくる翻訳をしてくれるような気がする.なんでこのサイトの英語版がないんだろう?

私にとって肝心の“氷床”なんて専門用語?は訳してくれないし,完ぺきには程遠いが,どちらのサイトも理解はしてもらえるレベルだと思う.利用者が単語を登録できるようになったらもっといいのに.時には,おっ,と思うすばらしい訳をしてくれることもあり,翻訳技術は想像以上に進化しているようだ.でも,双方の言語にある程度精通していてこそ,その性能を評価できるのだと思うので,これで英語の論文を書こうなどと思わない方が身のためだよーん.

今度,Shaw教授に試してもらって,感想を聞いてみようっと(もちろん内容のことじゃなくて,翻訳の性能のこと).

English Here

5月30日(木)

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TVを見ていたら,突然歌う日本人研究者がでてきた.よく見ると,“Smart Material”と呼ばれる機能材料についての番組で,1993年にBBCがHorizonで放送した“New Alchemist”の再放送だった.

で,問題の研究者は『ゾウの時間ネズミの時間』の著書であり,“歌う生物学”でも有名な東京工業大学の本川達雄教授であった. 教授が作詞作曲した“一生のうた”は有名.

かねがね,本川教授が歌う姿をみたいものだと思っていたが,ついに見てしまった.

いよいよワールドカップが始まる.

5月31日(金)

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Senegal-r.gif1-0france.gif 朝5時に起きてShaw教授宅まで行き,教授チームの若者と一緒に開幕戦をTV観戦.なんと塞内加亜がW杯王者の仏蘭西に勝利.
仏は全くやる気なしって感じ.韓国との親善試合もさんざんだったし.これを機に本気出してくるかも.

朝日新聞の“W杯メルマガ ”情報では,仏代表の主力のほとんどが国外の一流クラブに所属し,逆に塞内加亜代表のほとんどが仏蘭西のリーグ所属ということ.チーム名では旧植民地と宗主国の対決だが,内実は“塞内加亜人の仏蘭西リーグ選抜”と“フランス人の外国リーグ選抜”の対決ということだったらしい.

私がサッカーを真剣にやっていたのはもう20年も前の話.中学の時は万年弱小チームで一勝もできなかった.高校時代は逆に常勝チーム.すごい選手がゴロゴロいたので,公式戦での私の出番は少なかった.視力を悪くしたのがサッカー選手として最大の欠陥だったと思っている.なんせ広いグランドの何処に球があるのか,どっちに身方がいるのかもよく分からなかったのだから...それでもよく続けてやっていたものだと思う.

当時はラモスや木村が実業団でばりばりやっていたころだけど,まだJリーグなんてなくて,サッカーは一般的にはマイナーなスポーツだった.世の中に“ワールドカップ”というものがあるのを知ったのは1982のスペイン大会の時.今でこそいろんなスポーツに“ワールドカップ”があるけど,“ワールドカップ”といえば“サッカー”のことを指すのが常識,というほど世界ではサッカーがメジャーだということを知ったのもその時だった.

ジーコ,ソクラテス,ファルカン,セレーゾの“黄金のクワトロ”と呼ばれる中盤を擁していたブラジルが,ロッシのハットトリックによってイタリアに負けた試合.私が語るまでもなく,今や伝説の試合といわれる西独vs仏の準決勝でのリトバルスキーやプラティニの活躍.その延長戦でのルンメニゲのボレーシュート,フィッシャーのオーバーヘッド,そしてPK戦でGKのシューマッハーが決めた決勝点.こうした名場面は,今でも鮮明に目に焼き付いている.いい時期にいい大会に出会えたものだと思っている.

あの時の感動が忘れられなくて,今でもワールドカップにはついつい熱が入ってしまう.カナダまでやってきて,サッカー狂のホストに出合い,現代の高校生たちと一緒に日韓開催のワールドカップを見ることになるとは,夢にも思っていなかった.

でも最初の感動的体験を超える大会や試合はなかなかないんだよねえ.今回はいい試合に巡り会えるかな.


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