Takanobu Sawagaki沢柿教伸

Takanobu Sawagaki

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flag.gif エドモントン滞在記
2002.9.1〜9.15
9月1日
(日)

驚いたことに,安達淳子さんという,女子U19日本代表チームのトレーナーをされている方からじきじきにメールを頂いた.このページをご覧になったということで,私の応援に対するお礼のメールだった.なんと光栄なことだろう.私のレビューへの賛同のご意見もいただき,私の情熱が通じたかのようで,非常にうれしい.

メールによると,今回のU19チームはこれで解散となり,今後,彼女たちが国際舞台で試合をするにはその上のA代表に入らなければならないということ.安達さんは以前からA代表のトレーナーをされており(もちろんオリンピックにも同行),“今回のU19の何人が国内の厳しいポジション争いを勝ち抜いてA代表に来るのか楽しみ”だとおっしゃっていた.

監督をはじめU19のスタッフもすべて変わるようで,安達さんは,彼女たちを一貫して見続けることができる数少ない貴重な方だと推察申し上げた.私の故郷の富山県国体ボートチームも担当されているということで,なんだかご縁のありそうなお方.これからもがんばってください.


BRA_flag_sm.gif1-1GER_flag_sm.gifブラジルvsドイツ
PK 3-4
CAN_flag_sm.gif0-0xUSA_flag_sm.gifカナダvsUSA

第1回FIFA U-19女子世界選手権の最終日.Shaw教授一家と一緒に観戦.

朝から肌寒い曇り空で,試合中に雨にならないか気になる.

P9010007.jpg

第一試合の3位決定戦は11時開始だが,9時半にスタジアムに行ったら,すでに長い行列ができていた.発表では,今日の入場者は4万8千人ということ.すごい観衆.FIFA会長のブラッター氏やカナダ厚生相などのVIPを迎える.

3位決定戦の主審は日本人.ブラジルはとかくズルをするので,それに翻弄されない公正なジャッジが要求される.日本人主審の評価にもかかわる問題でもあるし,彼女にとっても大変な試合だなあ,と心配になる.

ドイツとブラジルは今大会二度目の対戦.それぞれ,相手に合わせた作戦を練ってきているのか,さぐり合いはなく,初めから独自のスタイルを発揮して,均衡した試合展開となる.ブラジルが先制したが,ドイツはヒールキックから出たボールをけり込むという芸術的な得点を決めて同点に追いつき,90分を終了.延長戦があるかと思っていたら,決勝戦のスケジュールを優先させるためにいきなりPK合戦になった.守護神“カーン”の国だけあって,キーパーの好守により,ドイツが3位となる.

W杯2002の決勝にもおとらず,見応えのある試合だった.心配したジャッジも好評だったようで一安心.今大会のベストマッチだったと思う.

P9010030.jpg

いよいよ決勝戦.カナダは前に出したボールに走り込むという単調な攻撃.USAも今ひとつ特徴がなく,試合内容としては退屈な90分.といっても,カナダを応援する5万弱の観衆はものすごい熱気.

両チームとも何度か惜しい場面を作るものの,つめが決まらず0-0のまま延長戦に突入.こうなると,体力の差がものをいう.結局カナダの疲労が顕著になり出した延長後半に,USAがチャンスをものにしてゴールデンゴール.

P9010042.jpg第1回FIFA U-19女子世界選手権は,女子サッカー界の王者,USAの優勝で幕を閉じた.

日本はフェアプレー賞を受賞し,キーパー18番がU19オールスターチームに選ばれた.おめでとう!

カナダの12番がベストプレーヤ賞の金を受賞.まあこれはホスト国への敬意も含まれているからいいとして,私としては,銀を受賞したブラジルの10番が最高の選手だったと思う.マラドーナはアルゼンチンの選手だけど,ブラジルの10番は体格も動きもマラドーナそっくりなのだ.これでもまだ16歳だというから驚き.今後の成長が楽しみ.

振り返ってみれば,女子U19といえどもお国柄が表れていて,上記の女マラドーナをはじめ,女ベッカム・女カーン・女宮本とでもいえる個性的な選手たちがたくさんいた.


試合後にShaw教授とも話したのだが,USAが強い理由がまだよく分からないまま.USAとブラジルの対戦があれば,何か見えてくるかもしれないのだが,いづれにしてもある程度の研究を要する課題だと思われる.

カナダはホームアドバンテージと持ち前のスピードを生かして勝ち進んだが,内容としてはまだまだ,ということで教授と意見が一致.3位決定戦がベストマッチだったと思うように,ドイツやブラジルのほうが内容的には良いサッカーをすると思う.でも勝てない,というのがサッカー.特にU19という年代は,体格や持久力が勝敗に大きく効いてくる要素なのではないかと分析した.

とにかく,8月後半は大いに楽しませてもらった.

9月2日
(月)

ひんやりとした晴天.今日は米加の“Labour Day”という休日.TVでは北米各地のスポーツ系のイベント中継が多い.こちらにも“スポーツの秋”,なんて言葉があるのかなあ?

修理した自転車の調子をみるついでに散髪に行く.いつものところが予約でいっぱいだったので,別のところを探したら,結構安い床屋をみつけた.でも,たぶんエドモントンでの散髪もこれが最後だろうと思う.

東京ではタマちゃんが夏の終わりとともに姿を消したとか.南極でも,とんでもない内陸部でアザラシのミイラがみつかることがあるけど...

4歳の息子がエドモントンにいたときに,“しいは明大前にいるんだよ”,と教えたものだから,東京に戻った息子が,“しいをさがしにいく”といって大変なことになっているらしい.

9月3日
(火)

今日から新学期がはじまり,学内の人口密度が一気に高くなった.上級生に学内を案内してもう新入生のグループをたくさんみかけた.若々しくていいなあ,と思う.

Shaw教授の長男がキングストンの大学に戻るのと新学期が始まったということで,教授の親戚一同が会する晩餐に誘われ,豪勢な料理をご馳走になる.食事中に,生物学科の学科長を務める教授の義理の妹君がふらっとやってきて,さんざん愚痴をもらしていった.お酒が入って緊張が解けたこともあるのだろうが,管理者としていろいろ大変なことがあるらしい.

教授宅で新聞を眺めていたら,投書欄で第1回FIFA U-19女子世界選手権への読者の意見の特集をやっていった.選手たちの予想以上のプレーを賞賛する投書が主流だったが,その一方で,決勝戦の内容の低さを嘆き,“こんなレベルの試合に5万弱もの観衆がつめかけたことは逆にカナダのサッカー認知度のレベルの低さを意味する”という意見もみられた.さらには,良いプレーをみせているにもかかわらず,観客が一方的にブラジルにブーイングを浴びせていたことを指摘して,“こういう行為はまさに見る側の質の低さを露呈しているものだ”と非難する意見まであった.

これらの投稿記事を読んで,カナダ人の中にも,私と同じようにブラジルを称え,決勝戦の内容を不満に思う人もいたことがわかり,ほっとした.それと同時に,今夏の日韓W杯の際に,共催国がみせた無節操で傍若無人な熱狂ぶりにも通じる考え方だなあ,と感じた次第.

英国出身でヨーロッパのサッカーのレベルを熟知している教授は,“男女を問わずカナダのサッカー自体は世界レベルから20年は遅れているし,決勝戦の内容は女子U19のレベルを率直に示している.カナダが今回の結果に慢心することにでもなれば,かえってマイナスだ”というご意見である.

9月4日
(水)

まさに新学期花盛り.大学構内では,サークルへの勧誘が盛んに行われている.

東大法学部の塩川伸明教授のホームページにある“読書ノート”をつまみ読みする.中でも,クーン『科学革命の構造』・佐伯胖『コンピュータと教育』・ポパー『歴史主義の貧困』・金森修『サイエンス・ウォーズ』は非常におもしろかった.

今年度から札幌の研究室で始めた新しいコースについて,私なりに理解していることは,「市民科学者の育成」という側面をその教育達成目標の中に多分に持ち合わせている,ということである.その意味において,『サイエンス・ウォーズ』の項の中で塩川教授が例えている,“ある種の「ヌエ的な奴ら」”を作り出そうとしているともいえる.

そういう“ヌエ”にとって習得させるべきリテラシーとは,本物の科学者の生態を実地で学び取り,その手法や考えかたを理解すること,そして自分でもそのような思考ができるようになることだと思う.これはある意味では非常に哲学的な課題であるけれども,哲学的側面と平行して,実質的な科学的課題にも正面から向き合わせないことには,本当に自分の頭で考えることもできないだろうし,血肉ともならないと思う.

例えば,塩川教授の文章は社会科学者の視点で書かれているのでやや抽象的な表現が多く哲学的である.しかし,私自身はパラダイムとか科学論争といったものにまさにどっぷりつかっている身なので,現実的・具体的例を想定できて,その趣旨は非常によく理解できた.そういう経験を院生にもしてもらいたいのである.


ではここで具体的な話に移ろう.氷河や氷床の底でどんな地質学的プロセスが働いているか?この課題に関して,1980年代にパラダイムシフトがあった(と,ある研究者が勝手に書き立てた?).現在の氷河地質研究は,まさにこの新しいパラダイムにのっとった「通常科学」の黄金期を謳歌している(かのように見える).しかし,その一方で,これとは対立する仮説が1980年代から存在していたことを忘れてはならない(じつは私はこちらのほう).厳密にいえば,氷河地質学にはパラダイムなど存在しないのだが,だれもがついついよりどころにしたくなるような理論や仮説というものが存在していて,大きな権勢をふるっていることは確かなのである.

このところ非常に気になるのは,こうした一方的な仮説がもてはやされるあまり,物事の本質が見過ごされてしまうのではないかということ.最近読んだ論文で,私には苦し紛れとしか思えないようなアドホックな解釈による考察が展開されているのを見て,それがこの分野ではある程度名の通った一流の研究者の手によるものでもあることから,非常にがっくりした思いをさせられた.こうした論文を読むにつけ,そろそろこの分野も混迷期に入ったかな,と思わざるを得ない.そう思う一方で,“新しいパラダイム”がもてはやされ「通常科学」の黄金期を謳歌しているだけに,このことに気づいている研究者は少ないにちがいないとも思う.

“新しいパラダイム”は,数式を駆使してもっともらしく氷河底の地質学的プロセスを記述しているが,そこから生み出される予測的な要素は,私にいわせれば「何もない」.地質学とは,そもそも,演繹的な反証が不可能な課題を多く扱う分野である.個々の事象を全体のコンテクストにあてはめて解釈するのがその主たる手法であり,解釈の正当性は,全体のコンテクストを合理的に説明できるかどうか,という帰納的な視点で判断されるものなのである.

その意味において,“新しいパラダイム”は必ずしも全体を説明しきれていない.地球温暖化や未来の気候変動予測が注目されている中,誤った(あるいは偏った)視点に基づく解釈やモデリングが横行するならば,きっと気候変動科学は未来予測に失敗するだろうし,その失敗から被る人類の損失も大きなものとなるにちがいない.

世の中の氷河地質学者は,一刻もはやく自らのスタンスを見つめ直すべきだと思う.もちろんこれは,自分が関わる陣営にとっても同じこと.塩川教授が『サイエンス・ウォーズ』の項で,一般の論争というもののあり方について考えている第四節は,非常に含蓄に富む示唆を私に与えてくれた.

さて,院生の諸君は以上の記述をどこまで理解できたであろうか(日本にいればレポートを書かせたいところなんだけど...)

9月5日
(木)

9月に入ってから肌寒い日が続いている.今日もどんよりとした曇りで10度以下の気温.久しぶりに暖房をつける.

夏が終わったかと思うとなんだか気が沈む.寒くなったせいか,体調もいまいち.

昨日の滞在記で“コンテクスト”という言葉を使ったので,あることを思い出し,久しぶりに日本から持ってきたDVDを観る.それは,トムハンクスが製作総指揮した“From The Earth to The Moon”という,ジェミニ・アポロ計画をドラマ化したTVシリーズのDVD版である.

このシリーズは,アポロ計画を成功させたNASAのプロジェクトを追いながら,1話ごとにテーマを変えて,関係したさまざまな人の視点でエピソードを描いている.その中でも私が一番お気に入りなのは,第10話の“Galileo Was Right[ガリレオは正しかった]”の話だ.

この話は,月の本格的な地質探査を目的としたアポロ15号のミッションを描いており,宇宙飛行士たちが地球で地質調査実習を行う場面が大きく扱われている.カルテクのシルバー教授について地質学を学ぶ宇宙飛行士たちの姿は,まさに「冒険から学問へ」のステップアップを示している.

この話の中で,指南役のシルバー教授が強調している言葉,それが“コンテクスト”(日本語字幕では[状況]と訳されている)である.“君達が持って帰るのは石だけじゃなくて、その存在する状況なんだ”この言葉が地質学の神髄のすべてを物語っている.そして,にわか仕立ての地質屋として宇宙飛行士たちに課せられたのは,本職の地質屋でもなかなか難しいこと,“限られた滞在時間,始めての調査地域という条件で,細かい事柄に捕われずに,素早く全体像を捕らえること”であった.そして彼等は,みごと,その使命を成し遂げる.

「我々が月に行く前に教え込まれたのはただ単にデータを集めて観測することだけではなく、心に刻むことです。月から戻ってきた今の気持ちを表すのに、プルターク(Plutarch)の言葉を引用したいと思います。"知性とは満たすべき器ではなく、燃やすべき炎である。"」

私は,物語の最後にあるこの言葉が聞きたくて,何度もDVDを観直してきた.何度観ても感動する物語(実話)である.

9月6日
(金)

今日も寒い一日.完全に体調をこわしたみたい.自分の英語の調子が悪いのがその指標.

お茶の時間にいく店の珈琲が値上げになった.自宅の家賃も一気に$100も上がったことから,大学は,構内に入っているテナントの賃貸料も値上げしたのだろうと思われる.最近自宅の配管の何か所かから水漏れがあって,頻繁にメンテのおじさんを呼ぶことになった.こうあちこちガタがきている宿舎が値上げになるのは納得がいかない.北米経済はまだバブルぎみだから,値上げに文句あるなら買わなくてもいいよ,って感じの売り手上位市場なんだろうな.

“北の国から”の6日放送分の録画に失敗したというショックな連絡.だれかダビングおねが〜い.

9月7日
(土)

青空がのぞくが,気温は低い.体調がいまいちなので,横になって休む.

ケーブルTVのHistory Channelで,今週一杯,潜水艦特集をやっている.今夜はその締めくくりとして“Das Boot”を放映.今回放映されたのはディレクターズカット版ということで,CMを入れると4時間近い長編.それを2連チャンでやれるというのは,まさに専門チャンネルの利点.この映画の結末は,何度みてもやるせない.

ドイツで作成された映画なので,音声は当然ドイツ語.でもって,英語の字幕がついている.ドイツ語音声と英語字幕を聞き比べたところ,なんだか直訳っぽい感じで,字幕の英語に違和感がある.日本でみる洋画の字幕は意訳している場合が結構多いのだけど,へたにお互いに近い言語だと,こうなってしまうのだろうか?それともドイツ語の言い回しを尊重する,というポリシーでもあるのかなあ...

P9070004.jpg 大学で同室のクリスはスイス人で,奥さんとの会話はドイツ語.生のドイツ語を聞く機会はそれくらいしかないけど,彼のはちょっとまったりした感じ.スイス人の特徴なのかな?一方,“Das Boot”の中で水兵たちが使っているドイツ語は軍人調でかたい感じ.それを聞いていて,チベット氷床説を唱えるゲッチンゲン大のクーレ教授の口調を思い出した.実際,クーレ教授のような容貌の水兵たちがたくさん出てくる(といっちゃクーレ教授に悪いかな).

ということで,“Das Boot”を見ながら夜更かししていたら,今までで最高のオーロラが出現した.結構良い写真が撮れた.それにしても,ここの住人がオーロラ見物に外に出ているのを見かけたことがない.写真を撮っていたら数人の中国人が脇を通っていったけど気付いていない様子だった.みんな興味ないのかなあ...

9月8日
(日)

週末で体調をもどすべく,ほとんど一日,横になって過ごす.

洗濯にいったら,またもや洗濯機が壊れていた.大学の施設だということで,家賃をはじめ,ランドリー等の共用施設の使用料が一般市場よりも安いのは確かに助かる.しかし,お金を取る以上は,それなりのサービス水準を保証しなければならないのではないかと思う.ただでさえ値上げしているというのに...これじゃまるで共産社会だ.この宿舎の住人は第三国からの留学生がほとんどだから,こういうことには慣れているのかもしれないが,先進資本主義社会ではやや異常な運営形態だということだけは気付いて欲しいなあ,と思う.

一方,学生が,学費を払っていることをたてに単位がもらえることを当然のこととして要求する,なんていう最近の風潮はどう解釈したらよいのだろう?“単位が欲しければお金で売ってくれる大学へ行きなさい”とでも言うしかないのか?でも,それで学生が減ったら独法化後の国立大学は困るんじゃないかしら?独法化後は,国立大学も顧客の満足度で評価されるという視点も出てくるに違いないけど,このへんの議論はどうなっているんだろうか?

と思って,ちょっと調べたら,こんなページを見つけた.その他にもいろいろ考え方があるようなので,もう少し調べてみるかな...市場経済ってなかなか難しい...

実は,これと似たような問題に,“オープンソース”とか“フリーウエア”などとよばれる無償ソフトの功罪についての議論がある.優秀なソフトが無償で広まるとソフト開発業者の経済基盤を圧迫して正常な市場原理を疎外する,ということだけに留まらず,NPOやボランティア団体等の非営利団体の質の問題,学術業績の共有の問題や著作権の問題などもからんできて,実は非常に複雑で奥の深い問題なのである.

複雑であるが故にここでは簡単には書けない.ただ,この問題についてもいろいろ探っているうちに,“「名ばかりのプロには負けない!」——がんばる中小企業のDB達人たち”という痛快なページをみつけたので,それだけを紹介しておこう.

ERPやSCMなどに代表されるいわゆるデータベース市場ってすごく儲かるらしい.上記のページでは,そういう暴利をむさぼるソフト業界に払う資金力のない中小企業が,パソコンレベルで独自のDBを構築してしのいでいるという話を紹介している.『モノ作りの現場にいる達人たちにとっては,部品や金型などを作るときに設計図を作るのは当たり前のこと。モノ作りの経験から見れば,データベースの設計プロセスなどは特に難しいことではない』とか,『“知恵”と“工夫”でコストをかけない』など,私はこういう話が結構好きだったりする.

9月9日
(月)

体調はかなり回復.穏やかな日和で過ごしやすい.

9・11がちかづき,TVでは特集番組がめじろ押し.もちろん北米寄りの構成ばかりなので,少々うんざりする.テロを生み出す中東の現状を率直に伝える視点も少しはもったらどうかと思うのだが...

生まれつきのテロリストなどはいないのだ...

9月10日
(火)

納得がいかな〜〜い.

米国がテロに対する警戒レベルを「高度の危険」を意味する「オレンジ」に1段階上げたというのに,小泉首相は余裕の訪米ですかい?

警告ではアジアもヤバイと言っているのに,この時期に首相を米国にやるなんて日本の危機管理はどうかしている.それに,この警告レベルよりも低かった昨年末から今年にかけて,外務省は『訪米自粛勧告』を出していたけど,あれは一体なんだったの?『訪米自粛勧告』によって渡米を断念させられた人たちの用事は,今回の首相訪米の目的に負けず劣らずどれも重要なことだったはず.

ちぐはぐな対応もいいかんげんにしてくれ.

この事実を裏読みすれば,今回米国が発したオレンジの警戒レベルは単なるこけおどしにすぎず,結局何も起こりはしないということだ.もしそうでなくて警告が本気ならば,日本の指導部はどうしようもない平和ボケばかりだということになる.それとも,米大統領のそばにいるのが日本の首相には一番安全だってか?


相変わらずTVの9・11特集番組は身内話ばかりだ.その中で唯一,非常に興味深い番組があった.それは,テロ発生直後に出された飛行停止命令に関わるドキュメンタリーである.北米上空を飛行していた旅客機は最寄りの空港に次々に強制着陸させられることになったが,米国に向けて飛んでいた旅客機は米国内にすら入れてもらえず,その多くがカナダに着陸することになった.ドキュメンタリーは,その様子をカナダ側で取材したものである.

番組の中で,どこかの空港の管制モニターが当時の航空機の動きを克明に示している画像があった.数字と矢印て表示されている航空機が一斉に近くの空港を目指している画像はなかなか衝撃的.ハリファクスやセント・ジョーンズなど,カナダの田舎にある狭い空港内に,強制着陸させられた様々な会社の旅客機が溢れんばかりに駐機している映像もまたすごい.

目的地にたどり着けず見知らぬ土地で途方に暮れる“旅客機難民”たちと,彼等を助けようと献身的に行動する地元のボランティアの交流が,ドキュメンタリーの中心テーマであった.

当時は,エドモントンにもたくさんの旅客機が着陸して,市内のホテルは満室となり,市民ボランティアによる宿泊施設の提供があったと聞いている.NYの様子が報道されている裏で,“旅客機難民”たちのドラマがあったことを実際の映像でみて,妙に身に迫るものを感じた.

9月11日
(水)

鎮魂の日.あちこちで半旗が掲かる.

学科のホームページと案内版に掲示する個人写真を撮影するというので,私もカメラの前に呼び出しがかかる.いきなりだったので,無精髭のまま.

撮影から戻ってきたらShaw教授が突然部屋にやってきて,“学部生向けの半日巡検をやるから一緒に来い”と誘われ,エドモントン郊外にバスで出かける.黄色いスクールバスに満員の盛況ぶり.参加している学生は結構まじめ.突然のことだったのでカメラを持っておらず少々残念だったが,基盤岩のブロックを取り込んで変形しているティルの露頭を詳しく観察することができた.

それ以外は一般的な河川流路や段丘の発達過程をみるもので,やや退屈.ほとんど起伏のない平原にあるエドモントンで,地形発達を学生に教えるのは以外に大変なことだと感じた.

ちょうど一年前のテロのあった日,私は北アルプスの新穂高温泉上流で氷河地質の調査に入っていた.下山後の温泉宿でWTCの惨状をつたえるテレビに見入りながら,カナダ訪問はどうなるのだろうか,と気をもんでいたことを思い出す.一年後の今,こうして氷床の堆積物を身近で観察していることを思うと,なかなか感慨深いものがある.

今朝,札幌の研究室においてあるサバーのHDがクラッシュした様子.とんだ9.11一周年となった.

“生まれつきのテロリストはいない”(9/9)けど,人類は生まれながらにして、ブッシュなんだそうだ.

9月12日
(木)

穏やかな日和.

Shaw教授は3日連続の半日巡検.いいかげん疲れてきた,と漏らしていた.

このページを配信している札幌のサーバーが瀕死の状態.このページがいつまでもつか時間の問題...どうしても続きが読みたい方は,ミラーサイトを用意しているので,本サイトがつながらない場合は,以下もお試しあれ.

ミラーサイト:http://wwwgeo.ees.hokudai.ac.jp/memberhome/~sawagaki/

9月13日
(金)

とうとう札幌のサーバーが逝ってしまったらしい.このページまでたどり着けた人,おみごと.

ソフト的な障害なら遠隔操作でなんとでもできるけど,ハード面の故障は現場にいないとどうにもならない.早速,別のサーバーに代行させる手はずを整えたものの,インターネットのアドレス帳とでもいえるDNSの修正を大学の計算機センターに依頼せねばならないのがまだるっこしい.日本は今週末は連休だから,完全な復旧は火曜日以降になりそう.

Shaw教授の講義が,黒板とパソコン画像をAVプロジェクタで投影して表示する方法しか使えない講義室になったとかで,今までOHPとスライドで使っていた講義資料をPowerPointで作成しなければなくなったらしい.慣れないことでもあり,ここ数日はずっとその作業にかかりきりだった.今日は,ようやく一段落付いたようで,出来上がったファイルをCDに焼いたものを私にプレゼントしてくれた.“できたよほらっ”ていうかんじで,とてもうれしそうだった.私にとっても非常に参考になるものをいただいて感謝.

9月14日
(土)

木の葉が徐々に色付いてきた.自宅のまわりのリスたちは,まだ冬支度をしなくてもよいのか,のんきにやっている様子.

洗濯に行ったら,数台の乾燥機が新品になっていた.そこだけ料金は割高.
自転車に日本へ送る荷物を積んで郵便局へ行ったら,タイヤがパンクした.近所で良かった.でもこれからどうしよう...

夕刻,ネパールからの留学生のRabindra Thanju氏宅に夕食に招かれる.辛みを押さえたネパール料理をたくさん御馳走になる.夫人手製のヨーグルトは最高.カトマンズでボール一杯のヨーグルトを食べたことがあったのを思い出した.ということで,どの料理もあまりにおいしいのでつい食べ過ぎ,おなかが張る.

Rabindra氏といろいろ話しているうちに,今回のエドモントン滞在のConclusionがひらめいた.忘れないうちに書き留めておこう.

9月15日
(日)

爽やかな秋空.

自転車を引いていける範囲に自転車屋さんがないので,せめてパンク修理用品だけでも,と思って近所に探しに出かけるものの,発見できず.約2時間の散歩となった.

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